はじめに
「子どもが生まれたので市役所に出生届を出した。これで手続きは完了した」
そう思い込んでおられる外国人のお父様・お母様は、実は少なくありません。
しかし、外国籍のご夫婦に子どもが生まれ、そのまま日本で一緒に暮らす場合、市区町村への出生届とは別に、出入国在留管理局(入管)へ「在留資格取得許可申請」を行う必要があります。
しかも、この申請には「出生した日から30日以内」という非常に厳格な期限が設けられています。期限を過ぎてしまうと大変なデメリットが生じるため、正しいルールとスケジュールを把握しておくことが大切です。
出生届は「14日以内」、入管への申請は「30日以内」
まず頭に入れていただきたいのは、「市区町村役場への手続き」と「入管への手続き」はまったく別物であるという点です。
- 出生届(市区町村役場): 出生の日から14日以内
- 在留資格取得許可申請(入管): 出生の日から30日以内
市区町村に出生届を提出しても、入管へ自動的にデータが連携されて子どものビザが発行されるわけではありません。出生届を出した上で、必ず保護者の方が期限内に入管へ出向いて申請を行う必要があります。
なぜ「30日以内」? 60日を超えるとオーバーステイに
入管法(第22条の2)の規定により、日本で出生した外国人は「出生の日から60日間」に限り、在留資格を持たなくても合法的に日本に滞在することが認められています。
しかし、この制度はあくまで一時的な猶予に過ぎません。60日を超えて日本に滞在する場合、申請期限である「出生から30日以内」に手続きを行うことが法律上の義務となっています。
もし申請をしないまま60日を経過してしまうと、お子様は日本で「不法滞在(不法残留)」の状態になってしまいます。一度オーバーステイになってしまうと、通常の手続きではビザが取れず、不法残留を解消するための複雑な特別手続きが必要になります。
「60日までは大丈夫」と誤解して後回しにせず、必ず「30日以内」に申請書類を提出してください。
60日以内に日本を出国する場合は申請不要
日本で生まれたお子様であっても、出生の日から60日以内に日本を完全に離れて本国等へ帰国(出国)する場合は、原則として入管での在留資格取得許可申請を行う必要はありません。
たとえば、「日本の病院で出産し、産後1か月ほどで母国へ里帰り・帰国する」といったケースが該当します。
ただし、「60日以内に出国する予定だったが、都合が変わって日本で生活することになった」という場合は注意が必要です。60日を過ぎる前に速やかに入管で申請手続きを行わなければなりません。
子どもはどの在留資格(ビザ)になる?
お子様が取得する在留資格は、ご両親の在留資格や家族構成によって判断されます。
- 親が「技術・人文知識・国際業務」や「経営・管理」などの就労ビザの場合:
子どもは原則として「家族滞在」の在留資格を取得します。
- 親の一方または両方が「永住者」の場合:
子どもは「永住者の配偶者等」(または永住許可申請の同時検討など)が対象となります。
なお、ご両親の一方が日本人である場合、お子様は原則として出生と同時に日本国籍を取得するため、入管でのビザ申請手続き自体が不要です(※ただし、出生後の認知や国籍留保の手続き中など、特殊な事情がある場合は別途個別のご確認が必要です)。
単純に「親と全く同じビザになる」とは限らないため、お子様にとってどの在留資格が適切かを事前確認することが重要です。
申請に必要な書類と注意点
在留資格取得許可申請では、主に以下のような書類を準備して住居地を管轄する地方出入国在留管理官署へ提出します。
- 在留資格取得許可申請書(お子様本人の情報と代理人である親の情報を記載)
- 出生したことを確認できる資料(市区町村発行の「出生届受理証明書」など)
- 世帯全員の住民票(続柄が記載されたもの)
- ご両親のパスポートおよび在留カードのコピー
- ご両親の職業・収入を証明する資料(課税証明書、在職証明書など)
- お子様のパスポート(※申請時点で未発給・未取得の場合は、理由を説明することでパスポートなしでも申請を受理してもらえます)
知っておきたい注意点
- 写真の提出について:
2026年6月14日以降の改定ルールにより、在留カード交付時に1歳未満のお子様については顔写真の提出が不要とされています。
- 処理期間の目安:
出入国在留管理庁の公表する標準処理期間は「在留資格の取得の事由が生じた日から60日以内」とされており、窓口や状況によっては即日処理となることもあります。
- 特別永住者の方のお子様について:
親が特別永住者の場合、手続きは「特別永住許可申請(入管特例法第4条)」となり、申請期限は出生から60日以内、提出先も入管ではなく市区町村窓口となります。一般の在留資格(30日以内・入管窓口)とは異なりますのでご注意ください。
まとめ:赤ちゃんが生まれたらすぐにご相談を
日本で生まれた外国籍のお子様について、押さえておくべきポイントは以下の5点です。
- 出生届は市区町村へ14日以内
- 在留資格取得許可申請は入管へ30日以内
- 60日を過ぎると不法残留(オーバーステイ)になってしまう
- 60日以内に海外へ出国する場合は申請不要
- 取得するビザは、ご両親の在留資格や家族状況によって決まる
出産直後は、お子様の健康診査や本国大使館へのパスポート申請、各諸手続きが一気に押し寄せ、ご夫婦ともに大変お忙しい時期となります。しかし、30日という期限はあっという間に過ぎてしまいます。
「自分の子どもにはどのビザを申請すればいいのか」「パスポートが30日以内に間に合わない」「期限を過ぎそうになっていて不安だ」という方は、一人で悩まずに早めに当事務所までご相談ください。
当事務所では、日本で生まれたお子様が安心・確実に日本での生活をスタートできるよう、ご家族の状況に合わせた在留資格の手続きを迅速かつ丁寧にサポートいたします。
※本記事は掲載日時点の法令・制度および公表情報に基づいて作成しています。法改正や運用変更等により内容が変更される場合があります。具体的な手続については、最新の法令・出入国在留管理庁の公表情報をご確認いただくか、当事務所等の専門家へご相談ください。
