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はじめに

本格的な外国料理を提供するために、海外で経験を積んだ調理師を採用したい。あるいは、専門的な技術を持つパティシエを海外から招きたい。そのような飲食店経営者の方に知っていただきたいのが、在留資格「技能」です。

外国人を飲食店で雇用する場合、「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」が知られていますがありますが、外国料理の調理師など、熟練した専門技能を持つ人材には「技能」という在留資格が適用されることがあります。

ただし、外国人であれば誰でも取得できるわけではありません。採用する人材の経験だけでなく、実際に担当する業務や店舗の営業内容も重要です。今回は、在留資格「技能」の要件と注意点を分かりやすく整理します。

1.在留資格「技能」とは?

「技能」は、日本国内の企業などとの契約に基づき、産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を必要とする業務に従事するための在留資格です。外国料理の調理師のほか、スポーツ指導者、航空機の操縦者、貴金属等の加工職人などが対象となります。

外国料理の調理師の場合、一般的には「外国において考案され、日本では特殊なものとされる料理」の調理や食品製造に関する技能が求められます。

例えば、本格的なインド料理、中華料理、タイ料理、フランス料理などの専門調理師を採用するケースが考えられます。ただし、料理の名称だけで判断されるわけではなく、実際の調理内容や専門性などを踏まえて審査されます。

2.調理師に必要な実務経験は原則10年以上

外国料理の調理師として「技能」を取得する場合、原則としてその料理の調理または食品製造に関する10年以上の実務経験が必要です。

この10年には、外国の教育機関で当該料理の調理などに関する科目を専攻した期間(外国の専門学校等の通学期間)を含めることができます(※日本の調理師学校等の通学期間は含まれません)。

また、タイ料理の調理師については、日タイ経済連携協定(JTEPA)に基づく特例があり、実務経験が5年に短縮されます。ただし、この特例を適用するには「タイ国内で調理師資格を取得していること」「来日する直前までタイでタイ料理の調理師として働いていたこと」という要件を同時に満たす必要があります。

重要なのは、単に飲食店で10年間働いていればよいわけではないという点です。申請する特定の外国料理に関する経験であることを説明できなければなりません。

そのため、過去の勤務先が発行する在職証明書などを通じて、勤務期間や担当業務を具体的に立証することが重要です。勤務先がすでに閉店している場合などは、経験を証明する資料の収集に時間がかかることもあります。

3.採用する店舗側(受け入れ機関)にも注意点がある

審査では、外国人本人の経験だけでなく、受入れ企業の事業内容や店舗の実態、雇用条件なども確認されます。

「技能」は熟練した技能を必要とする業務に従事するための資格であるため、接客や配膳、レジ業務などを主な仕事とすることは認められません。調理人がホール業務を兼務すると疑われないよう、他にホール担当スタッフが確保されているかといった体制面もチェックされます。

また、店舗自体がその外国料理の専門店として成り立っているか(メニュー構成や厨房設備、客席数などの実態)を写真や賃貸契約書等で立証する必要があります。さらに給与についても、日本人が同じ業務に従事する場合と同等額以上であることが求められます。

4.パティシエの採用も「技能」で申請できる?

パティシエについても、外国において考案され、日本では特殊なものとされる食品製造に関する熟練した技能を必要とする業務であれば、「技能」の対象となる可能性があります。

ただし、洋菓子の製造に携わっているという理由だけで、必ず認められるわけではありません。日本国内で広く一般化・普及している洋菓子技術とみなされた場合、専門的な技能と認められにくい可能性があるため注意が必要です。

外国に特有・独自性のある製菓技術であることの立証が必要となるため、製造する菓子の種類や専門性、本人の実務経験、実際の担当業務などを慎重に確認・立証する必要があります。

5.採用を決める前に専門家へ相談を

外国人調理師やパティシエの採用では、候補者の経歴や料理の種類、店舗の態様によって適切な在留資格が異なります。「技能」が難しい場合でも、本人の状況や予定する業務によっては「特定技能」など別の在留資格を検討できる可能性があります。

採用を決めてから必要な経験年数を満たしていないことが判明したり、業務内容や店舗要件が在留資格に合わないことが分かったりすると、開店計画や採用計画に大きな影響が生じかねません。

「候補者の経歴で10年の実務経験を証明できるか分からない」「店舗のメニュー構成や設備で許可が出るか不安」など、少しでもご不明な点があればご相談ください。

当事務所では、外国人の採用を検討されている企業・飲食店の皆様に向けて、在留資格の選択から申請に必要な書類の確認まで、状況に応じたご相談を承っております。外国人調理師やパティシエの採用をご検討中の方は、お気軽にお問い合わせください。

※本記事は掲載日時点の法令・制度および公表情報に基づいて作成しています。法改正や運用変更等により内容が変更される場合があります。具体的な手続については、最新の法令・出入国在留管理庁の公表情報をご確認いただくか、当事務所等の専門家へご相談ください。

 

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