はじめに
「特定技能の現場でがんばってきたけれど、これからはオフィスワークや営業でキャリアアップしたい」
外国人スタッフご本人や、現場の成長を支えてきた受入企業の経営者・担当者さまから、こうしたご相談をいただく機会が増えています。
特定技能から「技術・人文知識・国際業務(以下、技人国)」への変更申請自体は、法的に十分可能です。しかし、「特定技能で真面目に長く働いたから」という理由だけで、自動的に切り替えが許可されるわけではありません。
変更の可否を分けるのは、これから担当する仕事の専門性と、ご本人のバックグラウンド(学歴・職歴)との整合性です。
1. 「現場の経験」と「技人国の実務経験」はイコールではない
特定技能は、人手不足が深刻な現場で即戦力として働くための在留資格です。これに対し技人国は、大学等で修得した専門知識を活用する職務につくための資格です。
よく「特定技能で〇年働いたから、実務経験として認められますか?」と聞かれます。しかし入管庁の公式Q&A(Q41)にも示されている通り、「特定技能で働いた」という事実だけでは、技人国で求められる実務経験(原則10年以上、翻訳・通訳等の国際業務は3年以上)としては扱われません。
現場での経験をそのまま年数としてカウントできるわけではない点に、まず注意が必要です。
2. 学歴と新しい仕事内容の「関連性」をどう説明するか
技人国へ変更する際、最も重視されるのが「学歴」と「従事する業務」の関連性です。
- 大学卒(日本の短大・海外の大学を含む): 専攻と業務内容に一定の関連性が認められれば、比較的幅広く検討できます。
- 日本の専門学校卒(専門士・高度専門士): 専攻分野と業務内容との間に、より相当程度の関連性が求められます。
※なお、海外の専門学校を卒業している場合は、日本の「専門士」と同等と見なされず、学歴要件そのものを満たさないケースがあるため注意が必要です。
単に「日本語が上手だから通訳をしてもらう」「人手不足だから事務も頼む」という理由では審査を通りません。「どの業務に、どのような専門的知識が必要なのか」を個別に整理して立証する必要があります。
3. 転職・企業側の受入体制で押さえるべきポイント
変更に合わせて別の会社へ転職する場合や、自社で社内異動させる場合は、以下の点も厳しく見られます。
- 業務量の確保とOJTの範囲: 採用当初の一時的な現場研修(OJT)は認められますが、実質的に現場作業がメインになってしまうと不許可のリスクが高まります。会社側に「専任として任せられるだけの専門業務の量」があるかが問われます。
- 報酬要件: 日本人社員と同等以上の報酬額が設定されていることが必須です。
- 入社・業務開始の時期: 変更許可が下りる前に技人国の業務に就くことはできません。申請の審査期間を見越したスケジューリングが必要です。
在留資格の変更で迷ったら、専門家へご相談ください
特定技能から技人国への変更は、外国人スタッフのキャリアを大きく広げる貴重な機会です。しかし、事前の確認を怠ると「申請したけれど不許可になり、今の在留資格にも戻りづらい」といった事態になりかねません。
「自分の学歴で要件を満たせるか確認したい」
「自社の新しい業務内容が技人国に該当するか相談したい」
このようなお悩みをお持ちの企業様・外国人ご本人様は、ビザ申請の経験豊富な当事務所まで、どうぞお気軽にご相談ください。雇用契約書や履歴書、単位取得証明書などを拝見した上で、個別の状況に合わせた最適なお手続きをご提案いたします。
※本記事は掲載日時点の法令・制度および公表情報に基づいて作成しています。法改正や運用変更等により内容が変更される場合があります。具体的な手続については、最新の法令・出入国在留管理庁の公表情報をご確認いただくか、当事務所等の専門家へご相談ください。
