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はじめに

「特定技能で働いている外国人が、空いている時間に別の会社でも働くことはできますか?」

企業の採用担当者や、特定技能外国人本人から、このような相談を受けることがあります。

日本人であれば、副業やダブルワークは珍しいことではありません。しかし、特定技能の在留資格では、一般的なアルバイト感覚で別の会社の仕事を掛け持ちすることは制度上一切認められていません。

今回は、特定技能外国人の「兼業・ダブルワーク」について、実務上の注意点を分かりやすく解説します。

複数の会社で同時に働くことはできません(兼業・副業不可)

出入国在留管理庁の「特定技能制度に関するQ&A」では、複数企業での就労やアルバイトについて、明確に回答されています。

  • 「一人の特定技能外国人が複数の企業と雇用契約を締結して就労することはできません」(Q32)
  • 「別の会社でのアルバイトはできません」(Q53)

特定技能外国人には、フルタイム(週5日以上かつ年間217日以上、かつ週30時間以上)で業務に従事することが法令で義務付けられているためです。例外的な資格外活動許可などの救済スキームも用意されていません。

したがって、以下のような働き方は理由を問わず一切認められません。

  • A社で週5日、特定技能として勤務し、空いた日にB社でアルバイトをする
  • 休日だけ別会社で働く(単発アルバイトやスポットワークを含む)

「短時間なら大丈夫」「休日なら問題ない」という例外はありませんので、十分にご注意ください。

※なお、農業・漁業分野で認められている「派遣形態」による就労は、派遣元である1社と雇用契約を結ぶスキームです。時期によって複数の派遣先で作業を行う場合であっても、二重雇用(ダブルワーク)には該当しません。

「二重契約」の届出があるのに、なぜ働けないの?

ここは実務上、特に誤解されやすいポイントです。

出入国在留管理庁の「所属機関等に関する届出・所属機関による届出Q&A」には、二重契約(所属機関が2か所以上になる場合)に関する記載があります(Q15等)。これを見て「届出を出せば2社で働けるのでは?」と解釈してしまうケースが見受けられます。

しかし、特定技能においても所属機関に関する届出義務自体は及ぶものの、特定技能の受入れ要件であるフルタイム雇用(単独契約)の制約上、そもそも二重契約という前提事実そのものが生じ得ません。

「二重契約の届出様式やQ&Aが存在すること」と「特定技能で兼業ができること」は全く別の話ですので、誤解しないよう注意が必要です。

別の会社で働きたい場合は「転職手続き」が必要

現在のA社を辞めてB社で働きたい場合は、単なる副業追加ではなく、特定技能の受入れ機関(勤務先)をA社からB社へ変更する手続き(転職)を行う必要があります。

在留資格「特定技能」は、法務大臣が指定する特定の受入れ機関との雇用契約に基づいて付与されるものです。

そのため、転職する際には以下の点を事前確認・申請しなければなりません。

  • 転職先のB社が特定技能外国人の受入れ要件を満たしているか
  • 従事する業務内容が対象分野の基準に適合しているか
  • 出入国在留管理局へ「在留資格変更許可申請」を行い、許可を得ているか

外国人本人の判断だけで自由に勤務先を増やしたり変えたりすることはできません。

「副業させたい」と考えた受入れ企業のリスク

企業側から「人手不足なので、関連会社や近隣の店舗でも少し手伝ってもらいたい」という相談を受けることがあります。

しかし、特定技能外国人に対して日本人従業員と同じ感覚で副業を認めたり、別法人での作業を行わせたりすることは不法就労(資格外活動)に該当するリスクがあります。

特に以下のケースは違法となる可能性が高いため厳禁です。

  • 休日だけ別会社(グループ会社を含む別法人)で働いてもらう
  • 週数時間だけ別法人の事業所で作業させる

(※同一法人内の複数事業所での就労は、事前の計画提出や審査・届出等により認められる場合があります)

不法就労が発覚した場合、外国人本人が退去強制等の対象となるだけでなく、受け入れた企業側も不法就労助長罪(入管法第73条の2)に問われ、今後数年間にわたり特定技能外国人の受入れができなくなるおそれがあります。

まとめ

特定技能外国人の兼業・ダブルワークについてのポイントは以下のとおりです。

  • 特定技能外国人は、複数企業での就労・副業・アルバイトが一切認められません。
  • 届出制度は存在しますが、フルタイム要件があるため二重契約という事態自体が生じません。
  • 勤務先を変える場合は、アルバイトの追加ではなく「受入れ機関の変更手続き(転職)」が必要です。
  • グループ会社であっても、別法人で働かせることは不法就労助長罪のリスクがあります。

特定技能外国人の雇用・労務管理のご相談は当事務所へ

特定技能制度は、雇用契約と入管法規の双方から慎重に確認する必要があります。「関連会社で手伝ってもらいたい」「勤務体系を変更したい」「転職手続きを進めたい」といった疑問や不安がございましたら、自己判断せず、ぜひ当事務所へご相談ください。

申請取次行政書士としての専門知識をもとに、コンプライアンスを守った安全な外国人の受入れ・労務管理をスピーディーにサポートいたします。まずはお気軽にお問い合わせください。

※本記事は掲載日時点の法令・制度および公表情報に基づいて作成しています。法改正や運用変更等により内容が変更される場合があります。具体的な手続については、最新の法令・出入国在留管理庁の公表情報をご確認いただくか、当事務所等の専門家へご相談ください。

 

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