はじめに
「妊娠が分かったけれど、配偶者ビザは取れますか?」
答えは「心配いりません。十分に取得可能です」。
いわゆる「授かり婚」ですが、妊娠・出産をきっかけとして結婚したからといって、それだけで配偶者ビザ(日本人の配偶者等)の申請が認められないわけではありません。
一方で、結婚に至るまでの経緯や夫婦としての生活実態について、通常のケース以上に丁寧な説明が必要になることがあります。
今回は、妊娠・出産をきっかけに結婚したご夫婦が配偶者ビザを申請する際のポイントを解説します。
「授かり婚」でも配偶者ビザは申請できる
日本人と外国人が法律上有効な婚姻をしていれば、「授かり婚」という結婚の経緯そのものが配偶者ビザの不許可理由になるわけではありません。
基本的な提出書類一覧
- 日本人配偶者の戸籍謄本(婚姻事実の記載があるもの)
- 外国人配偶者の結婚証明書(母国発行のもの)
- 滞在費用を証明する資料(課税・納税証明書など)
- 身元保証書
- 世帯全員の住民票
- 質問書(入館指定フォーマット)
- 夫婦間の交流を確認できる資料(写真、SNS・通話記録など)
【ここが審査のポイント】
単に「なぜ結婚したのか」だけではなく、実際に夫婦として継続的に生活していく意思と実態があるかを、提出書類全体から分かりやすく説明することが最も重要です。
特に重要なのが「結婚までの経緯」
「妊娠したので結婚しました」という一言だけでは、交際から結婚に至った事情が十分に伝わらない場合があります。
一方で、授かり婚では交際期間が短いケースもありますが、妊娠・出産予定という事実そのものが「二人の関係に実体がある」ことを示す有力な材料にもなります。
時系列で整理しておきたい項目
- 出会いの経緯(いつ、どこで知り合ったのか)
- 交際スタート(交際はいつから始まり、どのくらいの頻度で会っていたか)
- 妊娠の発覚(妊娠が分かった時期と、互いの親への報告)
- 結婚の決意(結婚を決めた経緯)
- 現在の状況(現在はどこで生活し、出産後の生活をどう考えているか)
これらを時系列で整理しておくと、申請書類との整合性が取りやすくなり、婚姻の真実性をしっかりと立証できます。
「質問書」は正確に、矛盾なく
配偶者ビザの申請では、夫婦の出会いや交際の経緯などを記載する「質問書」の提出が求められます。あわせて、夫婦二人が写っていて容姿が確認できるスナップ写真(2~3葉)や、SNSのやり取り・通話記録などを提出します。
ここで注意したいのが、質問書と他の提出資料との矛盾です。
たとえば、質問書では「毎週会っていた」と記載しているのに、仕事の勤務記録などから頻繁に会うことが難しい状況だった、というような食い違いがあると、合理的な説明が必要になってしまいます。
だからこそ、申請前に夫婦で記憶を確認し、日付や事実関係をしっかり整理しておくことをおすすめします。
妊娠・出産に関する資料は「必要に応じて」
妊娠していること自体を理由として、通常の配偶者ビザの提出書類に「妊娠証明書」が必須とされているわけではありません。
ただし、妊娠・出産が結婚のきっかけとなったのであれば、母子健康手帳(妊娠の届出や分娩予定日がわかるページの写し)などを任意で添えることで、結婚に至る経緯を強力に補強する材料になります。
※審査の過程で入官から原本の提示を求められる場合があるため、手元に準備しておくと安心です。
また、すでにお子様が誕生している場合の届出や国籍手続き、あるいは状況に応じた適切な在留資格の手続きについては個別の事情が関係してくるため、事前に整理しておきましょう。
収入や生活基盤も忘れずに
配偶者ビザでは、夫婦が日本で安定して生活できるかという「経済的基盤」も重要な審査対象です。
現在の収入だけでなく、住民税の課税・納税状況などを確認し、必要に応じて預貯金や雇用予定証明書などで生活費を説明します。
出産に伴い休職・退職予定がある場合
特に妊娠・出産をきっかけに、日本人配偶者が一時的に休職・退職する予定がある場合などは、以下のような資料を準備して今後の生活費をどう確保するのかを整理しておくと安心です。
- 預貯金口座の残高証明書
- 育児休業給付金の受給見込みがわかる資料
- 親族からの扶養・金銭的援助に関する立証資料
まとめ:「授かり婚だから難しい」と考える必要はありません
妊娠や出産をきっかけに結婚した場合でも、それだけを理由に過度に心配する必要はありません。
大切なのは、結婚に至った経緯を事実に沿って誠実に説明し、夫婦としての関係を裏付ける資料をそろえ、これからの日本での生活についても具体的に説明できるようにすることです。
「授かり婚だから申請が難しいのでは」と悩んでいる方は、申請書類を集め始める前に、一度これまでの交際から現在までの経緯を時系列でノートなどに整理してみてください。それだけでも、どの資料を準備すべきかが明確になってきます。
当事務所でも、個別の事情をお聞きしたうえで、必要書類の整理から申請まで分かりやすくサポートしています。まずはお気軽にご相談ください。
※本記事は掲載日時点の法令・制度および公表情報に基づいて作成しています。法改正や運用変更等により内容が変更される場合があります。具体的な手続については、最新の法令・出入国在留管理庁の公表情報をご確認いただくか、当事務所等の専門家へご相談ください。
