■ はじめに
「外国人採用が決まったのに、ビザの申請が進まない……」
特定技能外国人を受け入れる企業が意外な落とし穴として直面するのが、「分野別協議会」への加入手続きです。
特定技能制度では、出入国在留管理庁への申請や支援計画の作成だけでなく、各分野の協議会への加入が義務付けられています。「受け入れてから手続きすればいい」「登録支援機関に任せておけば大丈夫」と思い込んでいると、思わぬスケジュール遅延や不許可リスクにつながりかねません。
今回は、協議会の加入時期に関するルールの変更点と、企業が押さえておくべき注意点を分かりやすく解説します。
■ 分野別協議会とは?
分野別協議会とは、特定技能制度を適正に運用するために、制度を所管する各省庁(厚生労働省や農林水産省など)が設置している組織です。
法令遵守の周知や受入状況の把握、地域ごとの人手不足状況の把握などを目的としており、特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、構成員として加入することが法律上の要件とされています。
■ 「受入れ後4か月以内」は過去のルール!現在は「申請前の加入」が必須
以前は、外食や飲食料品製造、介護などの10分野において「外国人を受け入れてから4か月以内に加入すればよい」という猶予措置が認められていました。
しかし、運用要領の改定によりこの猶予措置は全面的に廃止され、現在はすべての分野で「在留資格の申請(認定交付申請・変更許可申請)を行う前の加入」に統一されています。
つまり、外食業、飲食料品製造業、介護などを含む全分野において、在留諸申請を行う際に「協議会の構成員であることの証明書」を添付しなければなりません。協議会の加入審査には1〜2か月以上かかる場合もあるため、採用が決まったら直ちに手続きを開始する必要があります。
なお、介護分野などでは、申請前に協議会へ加入した上で、実際に外国人を受け入れた後に「受入れから4か月以内に個別の外国人情報を登録・報告する」という別の義務が定められています。「4か月」という期限は加入の猶予ではなく「受入れ後の報告期限」を指している点に注意が必要です。
■ 加入しないとどうなる?(不加入・退会リスク)
協議会への加入は、特定技能外国人を雇用するための法的な「基準」の一つです。
そのため、協議会に未加入のままでは、入管に在留資格の申請を出しても受け付けられないか、不許可となります。
また、加入後に会費未納や規約違反などで協議会から退会させられた場合、受入機関としての基準を満たさなくなります。その結果、「新たな特定技能外国人の受入れ(認定・変更)が認められなくなる」「現在雇用している外国人の在留期間更新が不許可になる」という重大な不利益を被ることになります。
「支援業務を登録支援機関に委託しているから安心」と考えるのも危険です。協議会への加入義務は支援機関ではなく、外国人を直接雇用する「受入企業自身」に課されているからです。
■ 新設分野の動向とスケジュール管理
特定技能制度は対象分野の拡大が続いており、新設された物流倉庫分野などのように、協議会の設置や受付体制の調整が進められている分野もあります。
こうした新設分野や制度変更の過渡期においては、事前に公表される運用要領や主轄省庁の案内に従って手続きを進めることが求められます。
「以前と同じ手順で大丈夫」と自己判断せず、必ず最新の運用基準を確認することが大切です。「外国人の採用が決まったのに、協議会の加入が間に合わず入国が大幅に遅れる」という事態を防ぐためにも、早期のスケジュール管理を心がけましょう。
■ まとめと当事務所へのご相談
特定技能外国人の受入れでは、ビザ申請書類の準備と並行して、分野別協議会への加入手続きを計画的に進めることが不可欠です。
「自社の分野で必要な手続きの流れを確認したい」「協議会加入から在留資格申請までスケジュールに不安がある」という企業様は、ぜひ当事務所にご相談ください。貴社の受入計画に合わせた確実な手続きとコンプライアンス体制の構築をサポートいたします。
※本記事は掲載日時点の法令・制度および公表情報に基づいて作成しています。法改正や運用変更等により内容が変更される場合があります。具体的な手続については、最新の法令・出入国在留管理庁の公表情報をご確認いただくか、当事務所等の専門家へご相談ください。
