はじめに
技能実習には、1号・2号・3号という段階があります。
1号では基本的な技能を学び、2号ではその技能をさらに熟練させ、3号ではより高度な技能の修得を目指します。3号まで進むと、技能実習は1号から通算して最長5年間となります。
ただし、誰でも2号から3号へ移行できるわけではありません。
3号への移行には、技能実習生本人の要件だけでなく、受入れ企業である「実習実施者」と、団体監理型の場合の「監理団体」が、それぞれ一定の基準を満たしていることが必要です。
今回は、2号から3号へ移行する際のポイントを整理します。
1.まず確認したい「3号へ移行できる職種・作業」か
最初に確認したいのが、現在行っている技能実習の職種・作業です。
技能実習2号・3号への移行対象となる職種・作業は、すべての仕事が対象ではありません。また、2号への移行はできても、3号への移行ができない職種・作業もあります。
外国人技能実習機構(OTIT)は移行対象職種・作業を公開しており、その中でも一部については「3号に移行することはできません」と明記しています。
そのため、「2号を3年間修了したから、そのまま3号へ進める」と考えるのではなく、まず職種・作業が3号の対象かを確認することが重要です。
2.実習実施者と監理団体が「優良」であること
3号への移行では、実習実施者と監理団体の双方について、いわゆる「優良要件」を満たす必要があります。
優良な実習実施者については、技能等の修得実績、技能実習を行わせる体制、技能実習生の待遇、法令違反等の状況、相談・支援体制、地域社会との共生などが評価されます。現在の制度では150点満点のポイント制となっており、6割以上(150点満点中90点以上)が優良な実習実施者の基準です。
監理団体についても、監査体制、技能等の修得実績、法令違反等の状況、相談・支援体制、地域社会との共生などが評価され、6割以上(120点満点中72点以上)を満たす必要があります。
特に、技能実習生の技能検定等の合格実績は重要な評価項目の一つです。
また、技能実習指導員や生活指導員、監理団体の監査担当職員などに対する養成講習の受講も、優良要件の評価につながります。
3.技能実習生本人にも「技能検定3級等」の受検がある
2号の修了時には、技能検定3級または技能実習評価試験の専門級相当の実技試験を受検することが必要です。
3号への移行を考えている場合、2号修了間際になって慌てることのないよう、早い段階から受検スケジュールを確認しておくことが大切です。
OTITも、2号の技能実習について、修了の12か月前までを目安として受検手続支援の申込みを行うよう案内しています。
4.3号では「一時帰国」も必要
3号へ移行する場合には、原則として、3号開始前(1か月以上)、または3号開始後1年以内に1か月以上1年未満の期間、一度帰国する必要があります。
また、3号では2号までの実習先とは異なる実習実施者を選択することも可能です。
5.2027年4月以降は「経過措置」に注意
ここは現在、特に注意しておきたいポイントです。
2027年4月1日からは、技能実習制度に代わって「育成就労制度」が始まる予定です。
ただし、一定の要件を満たす技能実習については経過措置が設けられ、2027年4月1日以降も技能実習を続けることができます。
その一方で、3号への移行については、2027年4月1日時点で技能実習2号の活動を1年以上行っていることが必要です。そのため、2027年4月以降に3号へ移行する可能性がある場合、遅くとも2026年4月1日までに2号を開始している必要があります。
現在2号で実習している方については、「いつ2号を開始したのか」を確認しておくことが非常に重要です。
まとめ
技能実習2号から3号への移行には、
・3号への移行対象職種・作業であること
・実習実施者が優良要件(150点満点中90点以上)を満たしていること
・監理団体が優良要件(120点満点中72点以上)を満たしていること
・技能検定3級等の受検など、所定の要件を満たすこと
・1か月以上の一時帰国を行うこと
・2027年4月以降は経過措置の対象となるかを確認すること
など、いくつもの確認事項があります。
特に現在は、技能実習制度から育成就労制度への移行期にあたります。「3号に進めると思っていたのに、経過措置の対象にならなかった」ということがないよう、早めに確認しておくことをおすすめします。
技能実習3号への移行を検討されている企業や技能実習生の方は、職種・実習開始時期・実習実施者や監理団体の要件などを一つずつ確認していきましょう。
※本記事は掲載日時点の法令・制度および公表情報に基づいて作成しています。法改正や運用変更等により内容が変更される場合があります。具体的な手続については、最新の法令・出入国在留管理庁の公表情報をご確認いただくか、当事務所等の専門家へご相談ください。
