はじめに
外国人留学生を対象としたインターンシップは、企業・学生の双方にとって貴重な機会です。
一方で、受け入れを検討する企業様から「外国人が日本企業でインターンシップをするなら、『特定活動』のビザが必要ですよね?」というご質問をよくいただきます。
実は、インターンシップだからといって一律に「特定活動(告示9号)」の在留資格が必要になるわけではありません。重要なのは、「学生が日本の大学か海外の大学か」「報酬が発生するのか」「期間はどのくらいか」という点です。
今回は、混同されやすい「特定活動(告示9号)」を中心に、インターンシップと在留資格の関係を分かりやすく整理して解説します。
1.「特定活動(告示9号)」とは?
「特定活動(告示9号)」は、海外の大学に在籍する学生が、大学の教育課程の一環として日本企業等でインターンシップを行う場合に利用される在留資格です。
つまり、日本の大学に通う留学生ではなく、原則として「海外の大学生」が対象となります。
また、単なる個人旅行や個人的な職業体験ではなく、海外の大学における学業(教育課程)の一部として実施されることが要件です。日本企業側にも適切な指導体制が確保されていることや、学生の専攻分野と関連する業務内容であることなどが求められます。
2.報酬がある場合は「特定活動(告示9号)」
海外の大学生が日本企業でインターンシップを行い、賃金や報酬を受ける場合には、原則として「特定活動(告示9号)」の在留資格を取得して入国します。
ただし、期間には厳格な上限が設けられています。
- 受入期間: 1年を超えないこと
- 通算制限: 海外の大学の修業年限の2分の1を超えないこと
たとえば4年制大学の学生であっても、制度上の制限を超えて長期間働くことはできません。申請時には、大学と受入企業との間の契約書、大学からの承認書や推薦状、教育課程の一環であることを示す証明書など、詳細な立証書類が必要となります。
3.日本の大学に在籍する留学生はどうなる?
ここが実務上、最も間違えやすいポイントです。
日本の大学や大学院等に「留学」の在留資格で在籍している学生が、アルバイトとして報酬を得るインターンシップを行う場合、原則として「特定活動(告示9号)」への変更は不要です。
代わりに、事前に入管から「資格外活動許可」を受けることで対応します。
- 週28時間以内のインターンシップ
通常の「包括的な資格外活動許可」の範囲内で行うことが可能です(※夏季休業等の大学が定める長期休業期間中であれば、1日8時間以内まで就労可能です)。
- 週28時間を超えるインターンシップ
単位取得など大学の教育課程の一環として学業と密接に関連し、週28時間を超えて実施される場合に限り、別途「個別の資格外活動許可」を取得して行うことになります。
つまり、「外国人留学生が給料をもらってインターンをする=特定活動9号」という理解は誤りですので整理しておきましょう。
4.報酬がなければビザは不要?
「無報酬ならどんなビザでも自由に参加できる」というわけではありません。
日本の大学に在籍する「留学」ビザの学生が、交通費実費程度で報酬を受けないインターンシップを行う場合、原則として資格外活動許可は不要です。
一方、海外の大学に在籍する学生の場合は、無報酬であっても適切な在留資格手続きが必要となります。
- 90日を超える場合: 「文化活動」
- 90日以下の場合: 「短期滞在」
ノービザ(査証免除国)の学生であっても、インターンシップ目的である以上、大学の在学証明書や協定書などの立証資料を準備しておく必要があります。
5.企業側が押さえておくべき「労働者性」の注意点
企業が最も注意すべきなのは、インターンシップの実態に関する法的リスクです。
企業側が「見学や体験のつもり」「無報酬だからビザ手続きは不要」と考えて受入を行っていても、実際の現場で企業の指揮命令下に置いて業務を行わせ、企業側に経済的利益が生じている場合は、労働基準法上の「労働者」とみなされます。
実態が労働者と判断された場合、最低賃金以上の報酬支払い義務が生じるだけでなく、適切な在留資格や資格外活動許可を得ていなければ、企業側も不法就労助長罪に問われる危険があります。「体験か労働か」の実態を必ず事前に見極めましょう。
まとめ
インターンシップにおける在留資格の選択は、以下の基本パターンで整理すると分かりやすくなります。
- 海外の大学生 + 教育課程の一環 + 報酬あり ➔「特定活動(告示9号)」
- 海外の大学生 + 教育課程の一環 + 無報酬 ➔「文化活動」または「短期滞在」
- 日本の大学生 + 報酬あり ➔「留学」ビザのまま「資格外活動許可」で対応
受入を決めてから慌てることのないよう、早い段階で「学生の在籍校」「報酬の有無」「期間と業務内容」を整理し、必要な手続きを確認することが自社と学生を守ることにつながります。
当事務所では、外国人留学生のインターンシップ受入に伴う在留資格の手続きや資格外活動許可のご相談を承っております。お困りの際はお気軽にお問い合わせください。
※本記事は掲載日時点の法令・制度および公表情報に基づいて作成しています。法改正や運用変更等により内容が変更される場合があります。具体的な手続については、最新の法令・出入国在留管理庁の公表情報をご確認いただくか、当事務所等の専門家へご相談ください。
