はじめに
「日本人と結婚した場合も、永住権を持つ外国人と結婚した場合も、同じ“配偶者ビザ”ですよね?」
実務の現場でご相談を受けていると、この二つを全く同じものとして考えていらっしゃる方にとても多くお会いします。
たしかに「配偶者として日本で暮らすためのビザ」という点では共通していますが、お相手が「日本国籍」なのか「外国籍の永住者」なのかによって、申請するビザ(在留資格)は明確に分かれています。
今回は、名前がよく似ていて間違えやすい二つの在留資格の違いと、申請時に知っておきたいポイントを分かりやすく解説します。
配偶者の「国籍」で申請区分が決まる
判断のポイントは至ってシンプルです。お相手(パートナー)がどちらの立場にあるかで決まります。
- 「日本人の配偶者等」:パートナーが日本国籍を持っている場合
- 「永住者の配偶者等」:パートナーが外国籍で、日本の「永住者」または「特別永住者」
「日本人の配偶者等」には、日本人の配偶者だけでなく、日本人の特別養子や日本人の子として生まれた方も含まれます。一方、「永住者の配偶者等」には、永住者・特別永住者の配偶者や、その子として日本で出生し引き続き在留している方が対象となります。
特に注意!「永住している外国人」=日本人ではありません
ここで特に間違えやすいのが、「日本に長く住んでいて永住権を持っているから、日本人と同じ扱いになるのでは?」という誤解です。
例えば、外国籍の方が日本で「永住許可」を受けていたとしても、日本の国籍を取得(帰化)したわけではありません。そのため、その方と結婚した外国人は「日本人の配偶者等」ではなく、あくまで「永住者の配偶者等」を申請することになります。
なお、婚姻後に永住者であるパートナーが帰化して日本国籍を取得した場合には、在留資格の変更手続き(「永住者の配偶者等」から「日本人の配偶者等」への変更)が必要になりますのでご注意ください。
どちらも「自由に働ける」大きなメリット
区分は異なりますが、どちらのビザも「身分・地位に基づく在留資格」であるため、共通する大きなメリットがあります。
- どんな仕事でも自由に働ける:学歴や実務経験を問われる就労ビザや、週28時間制限のある「家族滞在」とは異なり、職種や労働時間の制限がなく自由に働くことができます。
- 将来の永住申請でも同じ優遇が受けられる:将来的に本人が「永住許可」を申請する際、どちらのビザであってもガイドライン上は同じ優遇区分として扱われます。「実体のある婚姻生活が3年以上継続し、かつ引き続き1年以上日本に在留していること」などの要件が適用され、どちらが不利・有利ということはありません。
ただし、どちらを取得した場合でも「一度取れば終わり」ではありません。在留期間(5年・3年・1年・6か月)ごとに婚姻関係が実態として継続しているか審査されるため、定期的な更新手続きが必要です。
書類準備で大切なのは「実態の立証」
申請時に「どちらの区分か」を正しく選ぶのは当然ですが、入管の審査で最も重視されるのは「二人の婚姻関係が真実であるか(偽装結婚でないか)」と「日本で安定して暮らしていける経済基盤があるか」です。
出会いから交際、結婚に至る経緯を記した理由書(質問書)や、夫婦で写っているスナップ写真、課税・納税証明書などの立証資料を丁寧に揃える必要があります。インターネット上の定型文を丸写しするのではなく、お二人だけの具体的な経緯を誠実に説明することが許可への近道です。
おわりに
「日本人の配偶者等」と「永住者の配偶者等」は、似て非なる在留資格です。配偶者が持つ国籍や在留資格を正しく把握し、初期段階から適切な手続きを進めることが大切です。
「自分の場合はどちらを申請すべきか」「提出書類に不安がある」という方は、間違った申請をして時間をロスしてしまう前に、ぜひ一度ご相談ください。お二人が安心して日本で暮らせるよう、しっかりとサポートいたします。
※本記事は掲載日時点の法令・制度および公表情報に基づいて作成しています。法改正や運用変更等により内容が変更される場合があります。具体的な手続については、最新の法令・出入国在留管理庁の公表情報をご確認いただくか、当事務所等の専門家へご相談ください。
