はじめに
「日本で会社を作りたいけれど、海外からいきなりオフィスを借りて『経営・管理』ビザを取るのはリスクが高すぎる……」
海外にお住まいの起業家や、卒業を控えた留学生の方から、このような不安の声をよく伺います。物件の確保、出資手続、パートナー探しなど、足場のない状態で日本での起業環境を整えるのは並大抵のことではありません。
ですが、焦って会社を立ち上げる必要はありません。日本には、本格的な事業開始の前に滞在して準備を進められる「起業準備のための特定活動ビザ」という制度が存在します。
今回は、経営・管理ビザを目指す前段階で活用できるこの制度について、注意点や活用法を分かりやすく解説します。
起業準備のための「特定活動(スタートアップビザ)」とは?
日本で会社を経営する際の王道となるビザは「経営・管理」です。
しかし、「経営・管理」ビザを取得するには、申請時点でオフィスが確保されていることや、事業規模・資本金、経営者自身の経歴要件などをすべてクリアしていなければなりません。
そこで用意されているのが、国の認定を受けた自治体や支援機関のサポートのもとで起業準備を行う「スタートアップビザ(特定活動44号)」です。
この制度を利用すれば、資本金や事務所がまだ完全に準備できていない段階であっても日本に入国・滞在し、最長2年間にわたってじっくりと起業準備を進めることができます。
日本でどんな準備活動ができる?
スタートアップビザで在留している間は、将来の事業開始に向けた実質的な調査や手続きを進めることが認められています。
- 日本国内での市場調査や需要のリサーチ
- 事業計画書のブラッシュアップや専門家による検証
- 定款作成や登記など、法人設立の準備
- 事務所や店舗の物件選定・賃貸契約
- 取引先や委託先、パートナー企業との交渉
- ベンチャーキャピタル等からの資金調達活動
ただし注意したいのは、この期間はあくまで「起業の準備」を行うためのものである点です。自治体等の定期的な面談を受けつつ、最終的な「経営・管理」ビザへの移行を目標として計画的に動く必要があります。
経営・管理ビザとの決定的な違い
二つのビザの一番の違いは、「すでに事業を始められる状態にあるか」それとも「そのための環境を整えている段階か」という点です。
現在の「経営・管理」ビザは審査基準が厳格化されており、十分な準備なしに手探りで始めようとすると、途中で要件を満たせずビザが下りないという事態になりかねません。
まず特定活動で来日し、日本のビジネス慣習に慣れながら段階的に会社を形作っていくアプローチは、資金や時間を無駄にしない非常に現実的な選択肢といえます。
自分に合った「起業準備制度」を選ぼう
起業準備の「特定活動」には、いくつかのアプローチが存在します。
- 自治体のスタートアップビザ(告示44号):自治体に事業計画書を提出し、確認・支援を受けて準備する(最長2年)
- 留学生向けの起業準備(告示外特定活動):日本の大学等を卒業した留学生が、学校の推薦を受けて起業準備をする(最長2年)
- 優秀人材向け(J-Find・告示51号):世界ランキング上位の大学を卒業した方が、起業準備や就職活動を行う(最長2年)
ご自身の学歴、過去の職歴、現在お住まいの国や所持しているビザによって選ぶべきルートが異なります。
おわりに
「会社を作ってお金を払ったけれど、ビザが取れなかった」という事態は絶対に避けなければなりません。
起業活動を始める前の段階から、「どの準備ビザを使って来日し、いつ会社を設立し、どのタイミングで経営・管理ビザへ移行するのか」という全体のロードマップを描いておくことが、日本での起業を成功させる最大の鍵です。
当事務所では、「これから日本での起業を検討したい」「自分に合った準備ビザを知りたい」という初期段階から、将来の「経営・管理」ビザ取得を見据えたトータルサポートを行っております。大きな挑戦を確実な成功へとつなげるために、ぜひお早めにご相談ください。一緒に理想のビジネスを形にしていきましょう。
※本記事は掲載日時点の法令・制度および公表情報に基づいて作成しています。法改正や運用変更等により内容が変更される場合があります。具体的な手続については、最新の法令・出入国在留管理庁の公表情報をご確認いただくか、当事務所等の専門家へご相談ください。
