はじめに
「帰化したいと思っているけれど、何から始めればいいのか分からない。」
帰化を検討されている方から、最もよくいただくご相談の一つです。
帰化は、単に書類を集めて提出すれば終わる手続きではありません。最初の事前相談から、膨大な書類の準備、申請受付、担当官との面接、審査に至るまで、一定の期間と入念な準備が必要になります。
今回は、実際に帰化申請を進める際の大まかな流れと実務上のポイントについて整理して解説します。
帰化申請は、いきなり書類を提出するわけではない
帰化申請は、いきなり申請書を持って行って完了するものではありません。申請者の国籍、職業、家族構成などによって必要書類が大きく異なるため、まずは住所地を管轄する法務局(地方法務局)への「事前相談」からスタートします。
たとえば東京法務局をはじめとする多くの法務局では、帰化相談は完全予約制となっており、事前に予約を入れたうえで本人が法務局へ出向く必要があります。
基本的な手順は以下のとおりです。
- 自分の住所を管轄する法務局を確認する
- 法務局に帰化相談の予約を入れる
- 事前相談を受け、個別の必要書類を確認・指示される
- 書類を収集・作成し、申請の準備を整える
必要書類は「人によって全く違う」
帰化申請が難しいとされる最大の理由は、集めるべき書類の多さと複雑さにあります。
法務局では、申請者の状況に応じて個別に提出書類を指定します。会社員か事業者(経営者・個人事業主)かによって税金関係の書類は大きく変わりますし、結婚・離婚歴、子どもの有無、親兄弟の居住地などによっても収集する身分証明書が変わります。
また、本国から取り寄せる出生証明書や婚姻証明書などの外国語書類については、すべて日本語の翻訳文を添付する必要があります。法務局の実務上の案内においても、A4判の翻訳文を付け、翻訳者の住所・氏名および翻訳年月日を記載することが明確に求められています。
インターネット上の「必要書類一覧」だけを鵜呑みにせず、自分の状況に合わせた書類集めを行うことが重要です。
書類がそろったら、本人が法務局へ出頭して正式申請
必要な書類がすべて整った段階で、ようやく正式な帰化許可申請を行います。
帰化申請には「本人出頭の原則」があります(国籍法施行規則第2条第2項)。15歳以上の場合は申請者本人が、15歳未満の場合は親権者などの法定代理人が代理して(国籍法第18条)、必ず法務局へ直接出向いて手続きを行います(行政書士などが代理で書類を提出することはできません・・・ご要望があれば同行いたします)。
なお、帰化申請そのものに対する国への手数料(収入印紙代など)はかかりません。ただし、本国からの証明書発行費用、日本国内での証明書取得実費、翻訳費用などは別途発生します。
「申請したら、あとは待つだけ」ではない
帰化申請を受付してもらえたからといって、そこで終わりではありません。
申請後、法務局による審査が進行し、途中で追加書類の提出を求められたり、担当官による本人面接(場合によっては配偶者への面接や実地調査)が行われたりします。
また、帰化申請には「標準処理期間」が設定されていません。これは帰化許可が法務大臣の広範な裁量行為とされていることとも関係していると考えられます。法務局や申請者の状況にもよりますが、初回相談から許可まではおよそ1年〜1年半程度の期間を見ておくのが実務上の標準です。
帰化を考えたら「早めの相談」が大切
帰化申請の準備を進める中で、「本国の書類がどうしても取得できない」「過去の納税記録に未納期間があった」など、途中で壁にぶつかるケースは珍しくありません。
だからこそ、申請を決意して自力で動き始める前に、一度専門家へ相談することをおすすめします。現在の在留状況や家族関係、納税・社会保険の加入状況などを事前に整理しておくことで、躓きやすいポイントをあらかじめ把握し、効率よく準備を進めることができます。
帰化は、これまでの日本での生活を振り返り、これからの人生を日本人として歩むための重大な手続きです。
当事務所では、法務局への事前相談の同行から、複雑な収集書類の整理、動機書や各種申請書の作成、本国書類の翻訳手配まで、帰化申請をトータルでサポートしております。「自分は帰化の条件を満たしているか」「何から手を付ければいいか分からない」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
※本記事は掲載日時点の法令・制度および公表情報に基づいて作成しています。法改正や運用変更等により内容が変更される場合があります。具体的な手続については、最新の法令・出入国在留管理庁の公表情報をご確認いただくか、当事務所等の専門家へご相談ください。
