2026-08-21
はじめに
「日本で会社を経営したい。でも、日本語があまり得意ではありません。」
外国人経営者からすると、2025年10月に大きく見直された「経営・管理」の許可基準は、かなり気になるところです。
特に日本語能力について、「経営者本人がN2を取らなければならない」と思っている方が少なくありません。しかし、実はそうではありません。
申請者本人ではなく、一定の条件を満たす「常勤職員」が日本語能力の要件を満たす方法があります。
2025年10月から「日本語能力」が新たな要件に
2025年10月16日から、在留資格「経営・管理」の許可基準が大きく変わりました。
資本金・出資総額3,000万円以上、常勤職員1人以上の雇用、経営・管理経験または関連分野の修士相当以上の学位など、従来よりも厳しい基準が設けられています。
その一つが、日本語能力です。
改正後は、申請者本人または常勤職員のいずれかが、相当程度の日本語能力を有していることが求められます。
ここが今回の制度変更で、ぜひ知っておいていただきたいポイントです。
経営者本人が日本語を話せなくてもいい
例えば、海外から来たAさんが日本で会社を設立し、経営者として「経営・管理」の在留資格を取得したいとします。
Aさんは英語や母国語での経営には自信がありますが、日本語はまだ十分ではありません。
この場合でも、十分な日本語能力を持つ常勤職員を雇用することで、要件を満たせる可能性があります。
つまり、「日本語が苦手だから、経営・管理は無理」と最初から諦める必要はありません。
もちろん、日本語能力以外の基準も満たさなければなりません。3,000万円以上の事業規模、常勤職員の雇用、経営者本人の経歴または学歴など、改正後の要件を総合的に確認する必要があります。
どのくらいの日本語能力が必要?
出入国在留管理庁は、相当程度の日本語能力について、具体的な基準として、例えば次のようなものを示しています。
- 日本語能力試験(JLPT)N2以上
- BJTビジネス日本語能力テスト400点以上
- 大学等を日本語で卒業したことなど、日本語能力を有することを確認できる場合
重要なのは、単に「日本語が話せます」と口頭で申告するだけではなく、試験の合格証や成績証明書、卒業証明書など、能力を客観的に確認できる資料によって証明することです。
「日本人を1人雇えばいい」という単純な話ではない
ここは誤解しないよう注意が必要です。
まず、常勤職員として認められるのは、日本人や「永住者」「日本人の配偶者等」といった就労制限のない在留資格を持つ方に限られます。
また、「日本人や永住者の名前だけを借りれば要件を満たせる」というわけではありません。
出入国在留管理庁の資料では、日本語能力を持つ常勤職員について、住民票や賃金支払に関する文書、社会保険の加入状況などの提出も求めています。
形式的な雇用ではなく、会社の事業を支える「実態のある雇用関係」が厳しくチェックされます。
日本語のできる職員を「経営の補助役」として考える
この制度を、単なる「ビザの条件をクリアするためだけの人材」と考えないほうがよいでしょう。
例えば、外国人経営者が海外との営業や商品開発、経営判断を担当し、日本語に堪能な常勤職員が国内の取引先とのやり取り、行政機関との連絡、スタッフとの調整などを担当する。
このように役割を明確にすれば、会社にとっても合理的な人材配置になります。
在留資格の審査では、書類上の条件だけでなく、「その会社が実際に事業を継続していける体制になっているか」という視点も非常に重要です。
まとめ
2025年10月以降の「経営・管理」は、以前と比べて審査基準が厳しくなっています。
しかし、日本語能力については「経営者本人が日本語を話せなければならない」という制度ではありません。
申請者本人、または一定の条件を満たす常勤職員のいずれかが、相当程度の日本語能力を有していればよいという仕組みです。
日本語に不安がある外国人経営者の方は、「自分がN2を取らなければ申請できない」と諦める前に、会社の人員体制を含めた事業計画を立てることが大切です。
当事務所では、2025年10月改正後の最新基準に基づき、事業計画の作成サポートから常勤職員の雇用体制の確認、出入国在留管理庁への申請までトータルでサポートしております。「自分の事業計画で要件を満たせるか確認したい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
※本記事は掲載日時点の法令・制度および公表情報に基づいて作成しています。法改正や運用変更等により内容が変更される場合があります。具体的な手続については、最新の法令・出入国在留管理庁の公表情報をご確認いただくか、当事務所等の専門家へご相談ください。
