はじめに
「親が帰化するなら、子どもも一緒に日本国籍を取得できるのでしょうか?」
ご家族での帰化を検討される際、大変よくいただくご質問です。
未成年の子どもの帰化申請については、成人の外国人に求められる一般的な要件とは異なる特例があります。特に、日本人の子や日本人の養子については、住所・年齢・生計に関する要件が大幅に緩和されています。
今回は、未成年のお子さまが帰化する際のルールと実務上の注意点を分かりやすく解説します。
一般的な帰化には「5年以上の住所」と「18歳以上」が必要
国籍法第5条では、帰化の原則的な条件として、以下の要件などを定めています。
- 住所条件:引き続き5年以上日本に住所を有すること
- 能力条件:18歳以上(本国法によっても成年に達していること)
- 素行条件:素行が善良であること
- 生計条件:自己または生計を一にする配偶者その他の親族の資産・技能によって生計を営めること
しかし、日本人との身分関係がある場合などは、国籍法第6条〜第8条の「簡易帰化」の規定により、上記の条件の一部が緩和されます。
日本人の「子」は住所・年齢・生計の要件が大幅緩和される
国籍法第8条第1号では、「日本国民の子(養子を除く)で日本に住所を有するもの」について、以下の条件を満たしていなくても帰化を許可できると定めています。
- 5年以上の住所要件(免除)
- 18歳以上という年齢要件(免除)
- 生計要件(免除)
つまり、日本人の実子であれば、日本に住んでさえいれば、生後間もない赤ちゃんから未成年者まで単独で帰化の対象になり得ます。
「親と同時に申請する場合」も特例が使える
この規定は、すでに親が日本人である場合だけでなく、「親と未成年の子どもが同時に帰化申請をする場合」にも適用されます。
親の帰化が許可されることを前提として、子どもには第8条第1号の緩和規定が適用されるため、5年の在留期間を満たしていないお子さまであっても、親と一緒に申請して日本国籍を取得することが可能です。
日本人の「養子」になった未成年者の特例
もう一つ見落とされやすいのが「日本人の養子」です。
国籍法第8条第2号では、「日本人の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時に本国法上未成年であったもの」についても条件が緩和されています。
一般の帰化では5年以上の居住が必要ですが、この特例を満たす養子であれば「引き続き1年以上の居住」で足りることになります。
ただし、単に養子縁組をしただけでなく、「縁組をした時点で本国の法律上未成年であったこと」が条件となります。
条件緩和されても注意すべき3つのポイント
1. 住所・生計が免除されても「素行条件」の審査はある
住所要件や生計要件が免除されるからといって、無条件で誰でも許可されるわけではありません。
高校生や中学生など一定の年齢以上のお子さまの場合、「素行が善良であること(素行条件)」の審査は行われます。学校での著しい出席不振や素行不良、万が一の少年非行・軽犯罪歴などがある場合は、審査に影響を与える可能性があるため注意が必要です。
2. 片方の親だけが帰化する場合の親権・同意
両親のうち父親だけ(または母親だけ)が帰化し、子どもも一緒に帰化させる場合、帰化しない側の親の同意や親権関係が厳密に確認されます。
また、離婚している場合は親権がどちらにあるかが重要となり、法定代理人としての手続きや同意が必要になります。
3. 重国籍防止(本国法上の国籍離脱手続き)
日本は二重国籍を認めていないため、帰化によって元の国籍を離脱する必要があります(国籍法第5条第1項第5号)。
未成年者の場合、本国の法律によっては「単独での国籍離脱に制限がある」「親の国籍離脱に伴って自動的に離脱する」など国によってルールが異なるため、本国の国籍手続きについても事前に確認しておくことが大切です。
15歳未満の子どもの申請方法
帰化許可申請の窓口(法務局・地方法務局)での手続きは、年齢によって申請者が異なります。
- 15歳以上の場合:本人が申請窓口に出向き、申請書類の作成・提出を行います。
- 15歳未満の場合:親権者や後見人などの法定代理人が本人に代わって申請を行います。
まとめ
未成年の子どもの帰化には、一般の帰化申請とは異なる手厚い緩和措置が用意されています。
【ポイントの整理】
- 日本人の実子は国籍法第8条第1号により、住所(5年)・年齢(18歳)・生計の要件が免除される
- 親と子が「同時に帰化申請」する場合もこの緩和規定が適用される
- 日本人の養子(縁組時未成年)は、引き続き1年以上の居住で対象になり得る
- 住所・生計が免除されても、未成年者なりの「素行審査」はある
- 15歳未満の申請は、親権者(法定代理人)が行う
家族で帰化を検討される場合は、「親が要件を満たしているか」だけでなく、お子さま一人ひとりについてどの規定が適用され、どのような書類(出生証明書、親権関係の証明など)が必要になるのかを正しく整理することが大切です。
国籍や家族構成によって手続きが変わるため、早い段階で法務局へ相談されることをおすすめします。
※本記事は掲載日時点の法令・制度および公表情報に基づいて作成しています。法改正や運用変更等により内容が変更される場合があります。具体的な手続については、最新の法令・出入国在留管理庁の公表情報をご確認いただくか、当事務所等の専門家へご相談ください。
