はじめに
外国人材の受入れ制度としてすっかり定着した「特定技能制度」において、対象分野をさらに広げる大きな動きが進んでいます。
政府の閣議決定により、従来の16分野に「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」の3分野を新たに加えた運用方針が定められ、特定技能の対象は全19分野へと拡大することになりました。
人手不足に頭を悩ませる事業者様から「いつから実際に雇えるようになるのか」というご相談をいただく機会が増えていますが、閣議決定がなされたからといって即座にビザの申請が出せるわけではありません。制度運用の実務的なポイントと、今企業が取り組むべき準備について解説します。
新たに追加される3分野の概要と対象業務
今回追加された3分野は、いずれも社会インフラや経済活動を現場で支える重要な産業です。
1.リネンサプライ分野
ホテルや病院、介護施設等で使用されるシーツやタオル等の入荷、洗濯、仕上げ、検品、出荷準備までの一連の工程が対象となります。インバウンド需要の急速な回復に伴い人手不足が非常に深刻な領域であり、3分野の中では最も先行して制度整備が進められています。
2.物流倉庫分野
EC市場の拡大によって需要が急増している物流倉庫内において、貨物の搬入・搬出、保管、仕分け、ピッキング、梱包といった庫内作業全般が対象です。
3.資源循環分野
家庭や事業活動から排出される廃棄物の中間処理(選別・破砕・焼却設備の操作など)を行う業務です。再資源化に向け重要性が高まる一方で、現場の高齢化と人手不足が課題となっています。
実際の受入れ開始に向けた実務上の注意点
実務の現場で特にご注意いただきたいのは、「閣議決定=すぐに在留資格認定証明書などの申請ができる」ではないという点です。
実際に外国人を雇い入れるためには、関係省令や告示の改正、技能評価試験の運用開始、受入れ企業が加入すべき「分野別協議会」の設置といった細かな制度整備が完了しなければなりません。現状、入管庁へ申請が出せるのは既存の16分野に限られており、新3分野については準備が整った領域から順次申請受付が開始される見込みです。
解禁に向けて今から取り組むべき準備
「制度が本格的に始まってから動けばいい」と考えていると、いざ受入れが解禁された際、採用競争で大きく出遅れてしまうリスクがあります。
まずは自社の事業内容や現場でお任せしたい業務が、追加される分野の定義や要件に合致しているかを精査することから始めましょう。その上で、採用後の配置計画、社内での教育・研修体制の構築、さらには生活支援(登録支援機関との連携を含む)の準備を段階的に進めておくことが大切です。
まとめ
新設される3分野は、いずれも人手不足が経営の壁となっている業界であり、特定技能の活用は将来的な人材確保の大きな選択肢となります。
省令の改正や試験日程など、入管庁や関係省庁からの発表は今後も段階的に出されていきます。正式なスタート時にスムーズな採用活動へ移行できるよう、今のうちから自社の受入れ体制を整えておかれることをおすすめします。準備や要件の確認でご不安な点がございましたら、いつでも当事務所までお気軽にご相談ください。
※本記事は掲載日時点の法令・制度に基づき作成しています。最新情報は出入国在留管理庁の公表情報をご確認ください。
