はじめに
外国人を雇用する企業が増える中、現場でよくあるのが「在留カードを確認して問題なかったから一安心」と、その後の行政手続きを失念してしまうケースです。
外国人を採用した場合、日本人と同様の社会保険手続きに加え、外国人雇用特有の届出が法律で義務付けられています。怠ると行政指導や罰則の対象となり、企業の信用を大きく損なう恐れがあります。
今回は、人事担当者が押さえておくべき主要な届出と実務のポイントを整理しました。
1. 外国人雇用状況届出(ハローワーク)
外国人を雇用・離職させた場合、事業主にはハローワークへの「外国人雇用状況届出」が義務付けられています(労働施策総合推進法)。
対象はアルバイトを含む原則すべての外国人(特別永住者等を除く)です。
・雇用保険に入る場合:「雇用保険被保険者資格取得届」の提出で兼ねることができます。
・雇用保険に入らない場合(週20時間未満の留学生など):「外国人雇用状況届出書」を翌月末日までにハローワークへ提出します。
在留カード番号などの記載ミスが多いため、必ず現物を確認して正確に入力しましょう。
2. 雇用保険・社会保険の加入手続き
「外国人だから社会保険は不要」という例外はありません。日本人と同じ加入要件が適用されます。
・雇用保険:週20時間以上の勤務、かつ31日以上の雇用見込み
・健康保険・厚生年金:法人または常時5人以上の個人事業所で、正社員の4分の3以上の労働時間・日数
本人が「手取りを増やしたい」「将来帰国するから」と加入を拒むケースもありますが、要件を満たせば加入は企業の義務です。トラブル防止のため、採用時に制度をしっかり説明することが重要です。
3. 出入国在留管理庁(入管)への届出
「外国人を雇ったら一律で入管に採用届を出すべきか」というと、在留資格によって異なります。
・「技術・人文知識・国際業務」などの一般就労ビザ
ハローワークへの届出を行っていれば、企業側が重ねて入管へ直接採用届(所属機関による届出)を出す必要はありません。
・「特定技能」や「育成就労」
企業側に定期的な報告や受入体制変更の届出などが厳格に義務付けられています。
【重要】外国人「本人」の届出義務
企業側に届出不要であっても、転職してきた外国人本人には、入管へ14日以内に「所属機関の変更」を届け出る義務(入管法第19条の16)があります。失念すると本人のビザ更新に影響するため、会社からも声をかけてあげると親切です。
4. 税務関係の手続き
日本人と同様に「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出を受け、源泉徴収や年末調整を行います。母国の家族を扶養に入れる場合は「親族関係書類」や「送金関係書類」の提出が必要です。
まとめ:在留カードの確認だけで終わらせない
採用時には在留カードの有無だけでなく、以下の確認が不可欠です。
・自社の業務内容が、相手の「在留資格」の範囲内か
・アルバイトの場合、「資格外活動許可」があり週28時間以内におさまっているか
これらを怠ると企業側が「不法就労助長罪」に問われるリスクがあります。
当事務所では、外国人採用に伴う在留資格申請から受入れ後のコンプライアンス体制構築までトータルでサポートしております。手続きに不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
※本記事は掲載日時点の法令・制度に基づき作成しています。最新情報は関係省庁の公表情報をご確認ください。
