はじめに
「転職したら前職より年収が下がってしまいました。次のビザ更新は大丈夫でしょうか?」
外国人のお客様や受け入れ企業様からこのようなご相談をいただくことがよくあります。結論から言うと、「年収が下がった」という事実だけで直ちにビザ(在留資格)更新が不許可になるわけではありません。
入管がチェックしている本質的なポイントと、注意すべきケースについて詳しく解説します。
入管が見ているのは「生活の安定性」と「日本人と同等以上の報酬」
入管は単に年収の額面だけを見るのではなく、「日本で他人の手を借りずに独立して安定した生活を送れるか」を総合的に審査します。正社員として毎月安定した給料が得られる契約であれば、多少の減額で生活基盤が揺らぐと判断されるリスクは低いです。
ただし、就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)には「日本人が従事する場合と同等額以上の報酬を受けること」という法令上の要件があります。年収が下がったとしても「同じ会社・職種の日本人と同等以上の水準」が保たれていれば法的には問題ありません。逆に、相場を極端に下回る低賃金の場合は審査上厳しく追及されます。
年収減少とあわせて注意すべき3つの警戒ケース
1.生活が立ち行かないレベルの大幅減少
フルタイムからパートタイマーへ変更するなど給与が著しく激減した場合は、生活見通しや理由書の提出を求められる可能性が高まります。
2.「業務内容」まで単純作業に変わっている
年収ダウンよりも致命的になりやすいのがこれです。オフィスワーク前提の「技人国」でありながら、転職先で現場の単純作業専任になっている場合は、一発不許可となるリスクがあります。
3.転職先の経営状況が著しく不安定
一時的な減額が「転職先の資金繰り悪化によるもの」と疑われないよう、企業の事業計画書などを揃えて安定性を証明する必要があります(機密書類である事業計画書の取得には経営者の協力が必要)。
【重要】永住許可をめざしている方は「年収300万円の壁」に注意
通常のビザ更新はクリアできても、将来「永住申請」を考えている方は注意が必要です。永住審査では独立生計要件として「直近5年間の年収が継続して300万円以上(扶養親族がいる場合は上乗せ)」が実務上の目安とされています。転職によって一時的にでも300万円を割ると、永住審査の年数カウントがリセットされてしまう恐れがあります。
転職後14日以内の「届出」は済んでいますか?
年収の増減以上に実務で不許可や減期(5年・3年ビザから1年へ短縮)の原因となるのが、「所属機関に関する届出(転職後14日以内)」の失念です。届出を怠ると法的な義務違反とみなされるため、必ず期限内に行ってください。
転職後のビザ更新手続きをサポートします
年収が下がる転職であっても、職務内容の妥当性と生活の安定性をしっかり書面で立証できれば更新は十分に可能です。転職に伴うビザ更新や手続きに不安がある方は、どうぞお気軽に当事務所へご相談ください。
※本記事は掲載日時点の法令・公表情報に基づいています。実際の申請手続にあたっては最新の出入国在留管理庁の情報をご確認いただくか専門家へご相談ください。
