はじめに
「海外子会社の立ち上げのため、外国人社員を1〜2年現地に赴任させたい」
グローバル展開を図る企業様からこのようなご相談が増えています。しかし、人事担当者様や本人が見落としがちなのが、「在留資格(ビザ)を維持できるか」という入管法上の問題です。「在留カードの期限が残っているから大丈夫」という思い込みは危険です。長期間の海外勤務における注意点と実務対応を解説します。
「みなし再入国許可」の1年の壁
一時帰国や短期の海外出張であれば、出国時に空港で手続する「みなし再入国許可(1年以内に再入国する特例)」で対応できます。
しかし、海外赴任が1年を超える場合、みなし再入国は利用できません。出国前に必ず入管で通常の「再入国許可」を取得しておく必要があります。この手続を怠って出国し1年を過ぎると、手持ちの在留資格は自動的に失効してしまいます。
在留資格の「活動実態」と取消リスク
入管法上、就労ビザは「日本国内での活動」を前提としています。正当な理由なく3ヶ月以上、日本で本来の活動を行っていない場合、在留資格の取消対象(入管法第22条の4)となります。
業務命令による赴任であっても、年単位で日本を不在にすると「日本に在留する前提が失われた」と判断され、更新時に不許可となるリスクが生じます。
永住申請を予定している社員は要注意
最も影響を受けるのが、将来的に永住許可を希望している社員です。
永住審査では「継続して10年以上日本に在留していること(就労5年以上)」が厳格に審査されます。実務上、「1回で90日以上の連続出国」や「年間で通算100日前後の出国」があると、たとえ会社の業務命令であっても「居住の継続性」が途切れたとみなされ、カウントがゼロにリセットされてしまいます。
事前チェックリストとご相談
外国人社員を海外赴任させる際は、事前に以下をご確認ください。
1.渡航期間は1年を超えるか(超えるなら事前に入管で「再入国許可」を取得)
2.赴任中に在留期限が切れないか(赴任前の更新手続)
3.日本法人との雇用関係・日本での報酬受領は維持されるか
4.本人が将来の永住申請を希望しているか(居住要件リセットの事前説明)
「戻ってきてからビザを取り直せばいい」と考えて放置すると、再度呼び寄せの手続(COE交付申請)が必要になり、何ヶ月も日本に戻れない事態に陥ります。
当事務所では、海外赴任に伴う再入国手続の代行や、永住・更新計画への影響を踏まえたシミュレーションを行っております。お気軽にご相談ください。
※本記事は掲載日時点の法令・公表情報に基づいています。実際の申請手続にあたっては最新の出入国在留管理庁の情報をご確認いただくか専門家へご相談ください。
