はじめに
「まだ離婚届を出していないから大丈夫ですよね?」
配偶者ビザ(日本人の配偶者等)の更新で、近年ご相談が増えているのが「夫婦で別居している」というケースです。理由も関係悪化、単身赴任、家族の介護、DV避難、子育てなど複雑で、単純に割り切れない事情を抱えた方が多くいらっしゃいます。
入管が重視するのは「籍が入っているか」より「婚姻の実態」
結論から言えば、別居しているからといって即不許可になるわけではありません。 単身赴任や親族の介護、DVからの避難など、合理的でやむを得ない事情がある別居であれば、適切に説明することで更新は認められます。
しかし、審査において最も重視されるのは「実態を伴った婚姻生活が継続しているか」です。単に戸籍上の夫婦であることだけでは足りず、以下の点が慎重に審査されます。
・なぜ別居しているのか(正当な理由の有無)
・生活費の送金や定期的な連絡など、夫婦としての協力関係があるか
・今後、同居を再開する見込みや計画があるか
正当な理由がないまま長期間連絡を取っていなかったり、生活費の分担もなく関係が事実上破綻している場合は、「婚姻の実態を欠く」と判断され、更新が極めて難しくなります。また、正当な理由なく配偶者としての活動を6ヶ月以上行っていない場合、在留資格の取消対象となるリスクもあります。
客観的な証拠と「誠実な説明」が成否を分ける
別居ケースの更新申請では、口頭や簡単な理由書だけでなく、現在の関係性を証明する客観的な資料の提出が求められます。
・経済的協力の証拠: 生活費や住居費の送金記録(通帳コピーなど)
・交流の証拠: 定期的な通話履歴やLINEのやり取り、面会時の写真
・将来の見通し: 同居再開に向けた時期や条件をまとめた説明書
夫婦の形や感情の機微は、形式的な書類だけでは推し量れません。だからこそ、ただ書類を揃えるのではなく、「現在のリアルな状況と今後の見通し」を偽りなく論理的に伝えることが重要です。
離婚協議中・離婚予定の方へ
「すでに離婚協議に入っている」「離婚を前提に別居している」という場合、現在の配偶者ビザのまま更新することは非常に困難です。その場合は、日本での在留期間、子どもの養育状況、就労状況などに応じ、「定住者」や就労ビザなど、別の在留資格への変更を検討する必要があります。
状況に応じた最適な解決策をご提案します
当事務所では、別居理由書の作成補助から、離婚に伴う「定住者」ビザ等への変更手続きまで幅広くサポートしています。「入管にどう説明すればいいか分からない」とお悩みの方は、お早めにご相談ください。
※本記事は掲載日時点の法令・公表情報に基づいています。手続の際は最新の出入国在留管理庁の情報をご確認いただくか専門家へご相談ください。
